木炭紙にガッシュ+アクリル絵具 – 970 × 645 mm
Anne Sofie Von Otter「ジァン・シベリウス 歌曲集 Volume 1」
不世出のメゾソプラノ、アンネ・ゾフィー・フォン・オッター。1989年の録音なので私にとっては30年ほどの愛聴盤になります。
シベリウスの歌曲の中でも有名どころの曲が収録されており、曲、演奏共に素晴らしく、オッターの歌唱力はとても人間技とは思えません。その中でも私にとっての圧巻は、作品88の「6つの歌曲」です。
作品88の「6つの歌曲」はF.M.フランセンとJ.L.ルネベリの詩の極限の美しさもあって、当然作曲家は詩の出来不出来に感応し作曲しますよね。シベリウスは極限の詩の美しさに応えるように美しい曲を創作しています。
1.「青いアネモネ」(F.M.フランセン)2.「二つのバラ」(F.M.フランセン)3.「白いアネモネ」(F.M.フランセン)4.「アナモネ」(J.L.ルネベリ)
5.「いばら」(J.L.ルネベリ)6.「花の死」(J.L.ルネベリ)
私はJ.L.ルネベリの「いばら」で感極まります(涙)
いばら(J.L.ルネベリ 大束省三 訳詩)
いばらよ おまえ わが身内の植物よ
冬の氷の中に隠されて おまえは見下されている
おまえは棘に覆われ 嫌われている
しかしわたしは思うのだ: 春が来て
おまえには葉が出て薔薇が咲く
そして地上には一つとしておまえに勝り
香わしく愛される植物は見出されない
おお 何と多くのいばらの茎が
自然の中に裸で立っているではないか
それはただ愛のみを必要とし
ただ心からの太陽のまなざしを必要としている
薔薇で自らを装うために
そして生きとし生けるものの喜びとなるために
日本人の詩歌に対する感覚だと、花の詩の花には愛する人とか、母親だとか、子供だとか、人が向こう側に透けて見えますよね。でも、J.L.ルネベリの詩は純粋に花の儚さと、美しさを讃えています。詩人は植物である「わたし」に化身し、友である「いばら」を讃えているんでしょうか?