木炭紙にインク+ガッシュ+アクリル絵具 – 970 × 645 mm
辻 邦生「安土往還記」
一時期、山岡荘八さんの「小説 徳川家康」にはまり、あの長い小説を20回以上は読んだんじゃないでしょうか。(面白かったのと物覚えが悪いので)それ以来戦国時代の歴史に興味を持ち、「小説 徳川家康」では、明智光秀の謀叛の場面は通説で無難に書ききっていますが、何故、どうして謀叛か、と、やはりここはすごく気になり、いく本か読み進むなか、「安土往還記」に立ち寄ったしだいです。安土往還記は歴史小説の形を借り、架空の船乗りを「私」に擬えて書き進む、いってみれば私小説でもあるんですね。物語では直接謀叛とは関わりがありませんでしたが、いい本ですね。情熱的で高潔でいて透徹した描写と極限の中での幾多の箴言。
引用ですが、巡察使ヴァリニャーロいわく、「音楽の中で人々は個別の精神に変形する」なんて上手いこといいますね。ヴァリニァーロは本当に言ったんでしょうか?まさかね。でも、あそこまで恣意的に信長の思考に入り込んだのならば、本能寺で討たれる直前、自分を創造主として崇め奉れと曰った信長の思考まで書いて欲しかったですね。
本能寺の変時、信長の遺骸は見つからなかったと、どの史料にもありますが、本当に見つからなかったのでしょうか?絶対に何かが残っていたと思うのですが。