木炭紙にインク+アクリル絵具 – 640 × 490 mm
Otto Klemperer「Johann Sebastian Bach, Matthäus-Passion」
オットー・クレンペラーのマタイ受難曲は異常とも言えるテンポの遅さで有名で、死の国の音楽ではないかとさえ思いますが、重要なパートのアルトは先年お亡くなりになった偉大な歌手、クリスタ・ルートヴィヒさんがお歌いになっているので、愛聴しています。
3年近くほったらかしにして葦の小山になっていた我が家の墓所を、2時間半ほどかけて掃除をしたら、見事にぎっくり腰が出てしまい、痛さのあまり4日間飲まず食わず寝ずで 笑 治りかけの光が見え始めた頃、なぜか、バッハのマタイ受難曲中のバス独唱のアリア「来たれ、甘き十字架」が頭の中で何度も何度も回り始め、イエス様の歩調をヴィオラ・ダ・ガンバ一本で表現するバッハの見事な技法を思い出し感動!続いてアンナ・マクダレーナ著の「バッハの思い出」の中のマタイ創作時のバッハの苦労の場面も思い出されました。
マタイ受難曲は西洋音楽の傑作中の中でも特別の存在ですが、十代二十代で聴くのは早過ぎで、私は雑誌の影響で十代から聴いてしまいまして、この音楽はある程度年齢をいった人間が聴く音楽ではないかな?失敗だったかなと思っていました。又、私は幼少の時より虚弱な体質で、寝具の中から天井の格子の数を何度も何度も数えていたのを覚えています。
このことを思い出したら、いつも病中病後はマタイを聴いている。普段は長いし滅多に聴かない。かったるい。と大傑作を敬遠していた私ですが、十代の時期から聴いても良かったのでは?といい年をして今気が付きました。この音楽で癒されていたのではないか?
イエス様の受難の音楽とおやじのぎっくり腰を並べるのは不敬の至りですが、経験したことのない方は分かりませんよね。ほんとに辛いんだニャ