木炭紙にインク+ガッシュ – 490 × 640 mm

Borodin Trio「Wolfgang Amadeus Mozart Piano Trio K. 254」

一般的に、モーツァルトの音楽の真髄はオペラにあるとの意見がありますが、その通りかもしれません。ですが、彼の素の顔はどの分野の楽曲に出ているとお想いになりますか?
私は室内楽、とくにピアノ三重奏曲に現われているのではないかと最近になって思います。ピアノソナタは違う、仮面かぶっています 笑
我が家にあるモーツァルトのピアノ三重奏の最初の音源は、ピアノのMaria João Pires、バイオリンのAvgustin Dumay、チェロのJian Wangによるドイツグラムフォン盤ですが、文句なしの素晴らしい演奏で、素晴らしいがゆえに、モーツァルトの他のピアノ三重奏曲も聴きたくなり、ラフマニノフのピアノ三重奏曲の演奏で好印象のBorodin Trioの2枚組の全集CDを2016年の年末に購入しました。
K. 254から聞き始めると、あらびっくり、K. 254の1楽章の指示速度はAllegro Assai(きわめて早く)ですが、Allegroよりきわめて遅い 笑
当初は洗練しているタイプの演奏ではないな、録音のせいかな、粗雑なイマイチな演奏の印象でしたが、この数年、若干のオーディオの変革があり、演奏の正体がわかってきました。
美しい音楽だからか、味わうように、愛でるようにたっぷりと音楽を歌い込んでいます。だからテンポが遅くなるんですね。それわかるなぁ。すっ飛ばしたらもったいないですよね。味わいのある良い演奏です。
ところが、両者の演奏時間を調べるとMaria João Piresの演奏時間は7分39秒、Borodin Trioの演奏時間は6分44秒です!やられた!!
遅く聞こえても早い?音楽の不思議。演奏の神秘。
Borodin Trioの演奏を聴いて、毎度お馴染みの思いつきですが、モーツァルトの素の顔をみてしまったような気がしました。
2016年から今は2022年。チープながらオーディオの練度によりBorodin Trioのモーツァルトピアノ三重奏曲がいかに素晴らしい演奏かがわかりました。演奏家が丹念に育んだ音楽を迂闊に、簡単に判断出来ないです。一枚のCDの良さがわかるまで6年近くかかりました。オーディオに凝った方は同じ経験ありますよね。