木炭紙にインク+アクリル絵具 – 645 × 970 mm
スヴャトスラフ・リヒテル「J.S バッハ 平均律クラヴィーア曲集 第1巻 & 第2巻」
このちょー有名な音源は1970年から1973年にかけて録音され、72年から第1巻、その後第2巻と分けて発売されて、同時期にフリードリヒ・グルダ演奏の同曲の録音も販売されたような覚えがあり、音楽雑誌などではお二方の演奏は随分と高評価でした。ですが当時の私は十代で、十分貧乏であり、とても3枚組のレコードをいくつも買える状況ではなく、まぁ、気にかけないようにしておりました 笑
50年以上もクラシック音楽を聴いてきたのだから、その間に購入できたでしょう?と突っ込まれても致し方ないのですが、リヒテルさんとは縁がないのか、1981年の神奈川県民ホールのリサイタル、座席は確保していたのですが、リサイタル数日前に大量の下血と吐血で入院してしまい、行けなかったのですね。鬼門という訳ではないでしょうが、それ以来ピアノの巨人とは疎遠になりました 笑
手持ちの平均律クラヴィーア曲集のCDの演奏がイマイチなので、何かないかなとリヒテルを思い出し、CDを慌てて購入、演奏を聴き終わりました。
恍惚の時間でした!CD4枚分の第1巻と第2巻を猫と一緒に全て一気に聴き通しました。(付き合わされた猫もすごいね)
トランス状態中に、ふと、山岡荘八さんの小説、「徳川家康」の家康公薨去の際の描写のところで、意識の戻った家康公曰く「ようやく生命というものを見せて貰うたぞ。生命と申すものはな、大地に生えている。そして、天に向かってな、ぐんぐんと大きくのびている大樹じゃ。— 途中割愛 — 天にのびて、伸びたままよ」の部分を思い出し、もし、音楽の樹が大地から天にのびているのなら、この音楽は、どの辺なのかな?ずっと上の天のほうかな?と、リヒテルの雄渾でいて度量の広い演奏を、ちょっと醒めた目でみました。